2022年のオリンピックで94年ぶりの三連覇がかかる我らの羽生選手。誰もが応援したくなる選手です。スケートの技術はもちろんですが、精神力の強さも見逃せません。2017年に狂言師野村萬斎さんと羽生結弦選手の「表現の極意を語る」対談が行われました。羽生選手の精神力の源がわかる対談でしたのでダイジェスト版でお伝えします。
目次
1 対談スタートの様子
2 表現における型の意味
3 音を見せる難しさ 「リズムに支配されるのではなく、その人がリズムを支配する」
4 流れで見せる表現 「序破急」
5 Liveの緊張感の中でその場の空気をまとう
6「表現の極意を語る」対談のまとめ
*対談では冒頭が2018年(前回のオリンピック)の「SEIMEI」の曲名のお話でした。そこは割愛させていただき1は「対談スタート時の様子」に変更させていただきます。対談内容は2からになります。
*5の内容は会話重視にいたしました。興味ある番号の所だけでも御覧ください。
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1 対談スタートの様子
野村萬斎さんは三歳から狂言の舞台にたち、映画出演も多数あります。2001年映画「陰陽師」は狂言で培った演技力で独特の世界観を表現して話題になりました。羽生選手は2018年のフリーの演目に「SEIMEI」を選んだことで、この対談が実現しました。
羽生選手は背広姿、茶色のネクタイをしめて、緊張した面持ちで能楽研修所に立ち、狂言師野村萬斎さんを待っている所から始まります。
羽生選手 「こんにちわ。初めまして」
萬斎さん 「こんにちわ、ここははじめてですか?」
羽生選手 「初めてです。緊張してます」と返します。
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2 表現における型の意味
【役作りについて、天地人】
羽生選手 「安倍晴明は伝説的な人ですがどう役作りをしたのですか?」
萬斎さんは羽生選手のフリー演技冒頭の左手を上に上げるポーズを例にとって型の意味を解説されてました。左手はただ上げるだけではないのです。萬斎さんは天地人の意味を加えて舞っていたそうです。
天地人とは?
天地人:世界を形成する要素としての天と地と人。左手には天を司る要素を加えていくということです。
【表現における型の意味 所作】
セリフの説明でなく所作で表すこと、指先1つの表現で見る人の視線をひきつけ、振りに自分がどういう意味を持たせるのか。
この質問から羽生選手は「表現における型の意味」を考えさせられ、一つのポーズ(型)に込める意味をより鮮明に表現させることに発展しました。
【スケートにおけるアスリート要素とアーティスト要素のバランスについて】
さらに羽生選手はフィギュアスケートはジャンプなどの技術で得点をかせぐアスリート的要素と、お客さんに見てもらうことを意識するアーティストの要素の両方あることを語っています。
羽生選手はアーティスト的要素を利用してより深く型を掘り下げていこうと、この対談で気が付き実行させました。2018年のオリンピックでフリーの演目「SEIMEI」の演技をでは、型で視線を集めることに集中させました。左手は天に向かって上げられ、まるで世界と交信しているように見えました。
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3 音を見せる難しさ
【音の概念 日本と西洋の違い】
羽生選手は音を人一倍気にするタイプです。ゆったりとした曲はジャンプのタイミングが遅くなる、早いビートの曲はちょうどよくジャンプのタイミングがあると語ります。
そこで萬斎さんからは音の概念の話が出ました。西洋は音を全て体現するので振りが多く、日本は省略の文化から「無」が生まれるので音についたり離れたりとメリハリがあるということでした。
【リズムに支配されるのではなく、その人がリズムを支配する】
「無」を上手に活用させることでメリハリを付けることで一番見せたい所がよりハッキリ表現させることが出来ると萬斎さんは語り、「リズムに支配されるのではなく、その人がリズムを支配する」という名言が出されました。
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4 流れで見せる表現
【序破急】
萬斎さん
「スケートで氷の上を廻っているのは、一種の「無」の状態ではないでしょうか?狂言でも舞台の上を廻ることが多くあります」
ここで「序破急」の話が出ました。
「序破急」とは?
「序破急」:劇の構成又は曲のテンポを三段階で示すもの。「序」はゆったりとした導入部、「破」は中間、「急」は急テンポの終結部。
この話を聞いて羽生選手はジャンプをする時は最初からトップスピードでなく、ジャンプの時にトップスピードに調整していくと解説しました。
序破急の効果で具体的な型が目立つようになりひきつけられるようになるので、この考え方はスケートに活かせると語りました。
【ここまできた時に漏らした羽生選手の感想】
羽生選手
「すっごいためになりすぎて。頭が混乱してるんですよ。パンパンなんですよ、本当は。すごいな~。すごいとこに来てるな 俺」と顔をほころばせながら感想を伝えました。
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5 Liveの緊張感の中でその場の空気をまとう
【演技での失敗】
羽生選手
「例えば舞台の上で失敗されることはあるのですか?そういう時どういう風に切り替えますか?」
萬斎さん
「失敗してもそれを引きづっていると後ががたがたになるので何がおころうとも失敗したらそれはそれで元のルートに戻す」
羽生選手
「そうですよね。僕らアスリートであって失敗すればあきらかに減点され、勝敗もあるので。ちょっと通じるものがあるかなと思ったのは、失敗をどのように失敗ではないように流れの一つとして誤魔化す、というとマイナスのイメージかもしれなないけどどのように流れとして一つのものにするのかなあと」
【失敗から自由を手に入れる】
萬斎さん
「完璧を目指すのが我々の仕事という気はしますが、あるアクシデントがある方がある種の重圧から逃れられるというか、自分のポジティブに考えていくしかないのかな~という気がしますね。逆に失敗したら次は自由にやろう」
羽生選手
「その次の決まった所までは本当に自由に自分が感じるまでは難しいですよね。音に合わせなければいけない、でもジャンプも飛ばなきゃいけない、でも、気持ちも入れなくてはいけない。」
【その場とその時間「空気をまとう」】
羽生選手
「練習をしてきて、機械的にジャンプを飛べるようになって。でも、その中ではライブ感というものがあって。その時のお客さんの緊張感とか、会場の雰囲気、周りの選手ももちろんそうですが。
そういう中で、どのように自分のリズムというか、自分の呼吸というか、そういうものが基本的もどのように意識されているのですか?」
萬斎さん
「ある種、役者として舞台に立っただけで何かを感じさせて、自分のペースに引き込まなければならないと思うし、声を発しただけでふっと聞き耳を立てるような役者になりたいなと単純に思いました。」
その場とその時間 「空気をまとう」
それに対して挑戦的すぎるということではなくてその空気、場を味方につける「まとう」ということが出来ると人は喜びますね。
羽生選手
「すごい今、自分の中でためになりました。ありがとうございました」。
と対談は終わりました。
6 「表現の極意を語る」対談のまとめ
羽生選手は演技はどこからヒントを得ているのでしょうか?
羽生選手は野村萬斎さんとの対談で多くの事に気づかされ、自分のなかに取り入れていくことで、羽生選手にしか出来ない表現を演出して、2018年見事二度目となる金メダリをとりました。
そして、宮城県はもちろん、日本、世界中に勇気と感動を与えてくれました。
アスリート的な要素、アーティスト的な要素が必要とされるフィギュアスケートの演目でそのどちらも用意周到に準備し、高みを目指して何を選び、誰に教えを受けるか。そして強い精神力を維持出来るにはどうすればいいのか。常にポジティブなアクションをされています。羽生選手の生き方の一面を見た対談でした。
そして羽生選手のモチベーションの高さはスケート界のレベルアップに繋がり、未来のスケーターに希望を与えているのは間違いありません。
このブログアップ後、オリンピックが行われ2022年は残念ながら金メダル獲得にはなりませんでした。しかし「あれが僕の全て」と堂々と話す羽生選手。4回転半を着氷まで持ってい行く挑戦する姿がありました。そして対談で話していた美しい間の取り方、手の表現、緩急つけたスケーティングが見られフリーを滑り終えました。
いつか羽生選手の華麗な4回転半のジャンプが見れるのを楽しみにしています。今後のご活躍を心から願っております。
(テレビ録画のきっかけ)
2018年二度目の金メダルを獲得する前の年、2017年8月に行われた野村萬斎さんとの対談「表現の極意を語る」はあまりにも素敵なお二人の対談でしたので家で思わず録画しました。
羽生選手の精神力の源泉に近づけるヒントになるので改めてここで語られていた内容をダイジェストでお伝え出来ればと思いました。
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