こんにちわ、ルオです!ニューヨーク近代美術館、ワシントンナショナルギャラリーに作品が所蔵され、オークションでは20億以上で取引される現代アーティスト奈良美智(ならよしとも)さんはどんな作家さんなのでしょうか?奈良さんの描く少女、未来への眼差しに注目してみました。
目次
1奈良美智の少年時代が作品に影響
2描く少女の変化
3奈良美智(ならよしとも)まとめ
1奈良美智の少年時代が作品に影響
「あおもり犬」2006年(青森県立美術館より)
青森県立美術館の地下2階の一角に屋外展示されているのが「あおもり犬」です。
青森県立美術館のオープン時に展示されたあおもり犬(あおもりけん)は美術館の象徴的な作品の一つです。
あおもり犬(あおもりけん)は高さ8.5mで巨大です。建物と一体化して、体が地中に埋まっていることが特徴です。
又、季節や時間帯によって、見え方が変化します!
雪が降るとあおもり犬の足は雪に埋まるのですよ。
この作品を制作したのが現代アーティストの奈良美智(ならよしとも)さんです。
どんな人物なのでしょうか?
奈良さんは1959年12月5日に生まれ、青森県弘前出身、現在 64歳です。
青森市は海が近い町ですが、弘前市は岩木山をのぞむ自然豊かな町です。
子供の頃 両親は共働きでした。
必然的に1人で遊びました。自然の中で動物達と遊んだり、チラシの裏に絵を画いて過ごす日々だったそうです。
人間じゃないもの、自然や動物にすごく興味を持つことができた。いい環境だった。
と振り返ります。(HILLS LIFEより)
寂しいと思ったことはなかったそうですよ。
1人遊びが好きな子供だったのですね。
絵が好きだった奈良さんは1979年上京して美術大学に入学します。
しかし、都会での学生生活には馴染めず、絵のスタイルを模索するため、1人で世界中をめぐる旅に出ました。
そしてドイツへ留学します。
ドイツのデュッセルドルフに渡って美術を学び、ケルンにスタジオを構えて12年間暮らしました。
最初は誰も知り合いがいないし言葉も通じず、孤独な日々を過ごします。
しかし、ドイツでの生活は奈良さんに変化をもたらしました。
どんな変化だったのでしょうか?
故郷の青森を見つめなおす時間でした!
特に子どもの頃に過ごした青森の気候を思い出していました。
青森は日が暮れるのが早いです。
特に冬は、ほとんど毎日のように厚い雲に覆われ、暗くて寒くて長いのが青森の冬です。
それは他の人にはない特有な経験でした。
自分の核になっているのは自然の中で育った少年時代であることに気が付いたのです。
「アオモリ・ヒュッテ1」2016年ミクストメディア
(青森県立美術館より)
奈良さんは当時のことを振り返ります。
美術の教育を受けますけれど、そういう学びを全部通り越して、子ども時代の記憶がどんどん前面に出てきて、それを基に創作しているという感覚があります。
(HILLS LIFEより)
特に思い出すのは夜だそうです。
家の周りには街灯もなく、真っ暗な中で星だけが本当に綺麗だったことでした。
ずっと流れ星を眺めてたそうですよ!
自分が真っ黒な宇宙に浮かんでいるような錯覚を覚え、宇宙人や、人間ではない何者かと交信できるんじゃないかと想像しました。
素敵な感覚ですね!
星と語り合い、亡くなったおじいさん、おばあさんに語りかけたりするのがすごく好きだった少年でした。
子供時代の感覚が自分の絵の元になっていることを再発見をしたのですね。
2 描く少女の変化
奈良さんのヒット作品は少女です。
皆さんはこの作品、どんな印象でしょうか?
Mumps1996年(奈良美智財団より)
どちらかというと楽しそうというより不機嫌な顔をしてますね。
そしてこちらをにらみつけている感じもあります。眼が吊り上がった女の子ですね。
手、足、指が簡略化されてます。スカートも丸まって円盤みたいで、おむつの形も塊のような形で描かれてます。
この作品は奈良さんのスタイルが確立された30代の作品です。
作り方はキャンバスに綿布を張り付け、その上から、速乾性のあるアクリル絵具で描かれてます。
奈良さんの描く少女は描かれた時代と共に変化しています。まるで成長する女の子ですね。
奈良さんはなぜ少女の姿を描いたのでしょうか?
力のある人、大人の人が大きな声でものを言うのは当たり前です。でもちっちゃなもの、弱いものはなかなか思ったことが言えません。
ビビっちゃったり、言っていいのかな、とか悩みます。
その象徴であるのが少女です。
力の無いものが、眼力で睨んで、力のあるものに向かって大きな声を出す姿を描いています。
強いものに屈しない反骨精神を持つ、不機嫌な女の子の作品が誕生したのですね。
奈良さんは少女を描くことは「自分の心に正直になると自然とそうなる」と話しています。
すべて自画像だそうですよ!
少女の変化、気になりますね!
では奈良さんが40代に描いた少女を見てみましょう!
「NO NUKES1998年」(WEBサイト)
そして50代ではどう少女が変化したのでしょうか?
ビー玉みたいな眼ですね。
その美しい眼から、涙が出ています。
涙は偶然、絵具が垂れたのを黄金色に仕上げたそうですよ。
輪郭が曖昧で、色彩で豊かです。
Midnight Tearsは子供という印象は薄れ、優しさ、憂いを帯びた少女です。
弱い立場で、あらゆる理不尽に反発していた女の子が、他者を受け入れ大きく抱擁する存在へ変化したように見えます。
現実の世界を受け入れたのでしょうか。
人生を物語ってます。
奈良さんは2011年東日本大震災直後、ボランティア活動を通して被災地の人々と触れ合ってきました。
震災被災地の人々の復興しようという気持ちに向き合うと、明るい未来を感じたそうです。
現在は北海道を拠点に子供たちと一緒にアート活動をしています。
奈良さんのお人柄がわかりますね。
3 奈良美智(ならよしとも)まとめ
オークションでは20億以上で取引される現代アーティスト奈良美智(ならよしとも)さんは青森県弘前市の出身です。
奈良美智さん(奈良美智財団より)
ドイツに留学し、その後ケルンで12年間過ごす日々は故郷青森を見つめなおす大切な時間でした。
奈良さんのスタイルが確立された30代の作品の少女達は反骨精神を感じさせます。
しかし、奈良さんが描く少女たちは時代と共に成長していきました。
幼い少女は、他者を受け入れ大きく抱擁する存在へ変化しました。
成長していく子供から少女へ変化していく様子は、奈良さんの人生の変化を感じさせます。
優しい眼差しが作品から溢れています。
これからの作品も楽しみです。