こんにちは、ルオです!京都洛北、屈指の名刹『曼殊院門跡』は小さな桂離宮と呼ばれています。又、国宝「黄不動明王像」が見られるチャンスです。茶室は京都三名席の一つです。曼殊院門跡の雅な世界をお伝えします。(ルオのお勧め寺社シリーズ)
目次
1「小さな桂離宮」と呼ばれる理由
2 国宝「黄不動明王像」
3 曼殊院門跡(まんしゅいんもんぜき)のまとめ
1「小さな桂離宮」と呼ばれる理由
平安時代に始まる天台宗の寺院、「曼殊院門跡」(まんしゅいんもんぜき)は、京都白川通りを東に渡り坂道を登っていきます。
天台宗の総本山「比叡山延暦寺」に始まりを持ち、「北野天満宮」とつながりがあります。
門跡(もんぜき)とは皇室の方々が住職をしているお寺のことです。
曼殊院門跡は青蓮院門跡、妙法院門跡、三千院門跡、毘沙門堂門跡と天台宗五箇室門跡のひとつです。
塀の5本のすじは格式を伝えます。洛北屈指の名刹なんですね!
曼殊院の名前は曼殊沙華に由来するとも言われてます。
サンスクリット語で「天界に咲く花」の意味です。おめでたいことが起こる兆しで天から降ってくるそうですよ!
「小さな桂離宮」と呼ばれる理由は何でしょうか?
29代良尚法親王(りょうしょうほうしんのう)が曼殊院の造形に関わりました。
そして皇室で代々受け継がれた宮廷の美意識を取り入れました。
どんな特徴があるのでしょうか?
主に6つ上げてみます。
1 壁紙と障壁画
「竹の間」の壁紙は日本で最初の木版画です。「虎の間」の障壁画『竹虎図』は伝狩野永徳筆。
「孔雀の間」の襖絵は岸駒(がんく)作です。『十雪の間』の障壁画狩野探幽筆です。
江戸時代に活躍した絵師たちの作品を見ることが出来ます。
2 建築
大書院は「むくり屋根」で丸みを帯びたこけら葺きで、柔らかさが演出されています。
大津壁(おおつかべ)と言われる赤い壁も印象的です。
小書院の廊下の手すりは奥に行くほど低くなり、建物を広く見せる工夫がされました。
3 金工
襖の取っ手には「ひょうたん」、釘隠しも手が込んでいます。
それは、嘉長(かちょう)の作品だからです!
嘉長(かちょう)は豊臣秀吉に見出され、小堀遠州にも重宝された金工師です。
「富士の間」の七宝焼きの釘隠しは「富士山」の意匠が見られます。
一つづつ色使いが異なり、富士山にかかる雲の形が異なるので、色々な富士山が見れるのが楽しいです。
4 欄間
「月」の字をくずした欄間は桂離宮の特徴です。曼殊院は「卍」を崩した欄間です。
「菊の花」をかたどった欄間も見ることができます。
5 曼殊院棚
「黄昏(たそがれ)の間」は日常生活の間で曼殊院の最高の格式です。そこに「曼殊院棚」があります。
10種類の寄木で作られている名品です。
6 茶室
曼殊院の「八窓軒」江戸時代作です。
大徳寺孤蓬庵「忘筅」、金地院「八窓席」と並ぶ京都三名席のひとつです。
8つの窓があります。
この窓は釈迦の生涯を8つの場面にわけて解く仏教の八相成道(はっそうじょうどう)にちなんだものです。
窓の白と壁の黒が対照的な茶室です。
光と影がたくみに利用されてますね。物静かな非現実的な空間表現です。
宮廷の美意識を取り入れた6つの創意工夫は日本の美意識が満載です!
雅なたたずまいと数々の意匠は「小さな桂離宮」と呼ばれる理由ですね。
2 国宝「黄不動明王像」
曼殊院の国宝「黄不動明王像」は青蓮院門跡の「青不動」高野山明王院「赤不動」とともに三不動と言われています。
平安時代に描かれ、金色に輝いていたことからその名がつきました。
本物は京都国立博物館に寄託されていますが、模写もとても見ごたえがあります。
曼殊院の「黄不動明王像」の特徴は何でしょうか?
ふつう、明王は安定感と純粋さを現わすために童子の姿が多いです。
しかし、曼殊院の明王は青年層です。
お腹が大きく描かれ、安定感があります。
お腹のあたりに御衣絹加持(みそぎぬかじ)も新たに発見されました。
御衣絹加持(みそぎぬかじ)は仏画を描く前に清めた水で仏像を描く儀式です。
文献では儀式の記載は見られることはありますが、実際に形として残っていた例はとても貴重な発見でです!
曼殊院は2023年5月13日~6月30日「秘仏国宝黄不動明王像」特別公開を行ってます。
国宝と模写が並べて展示されます。
「黄不動明王像」は今後公開は避け、秘仏扱いとなるのでこの機会を逃したくないですね!
曼殊院
拝観時間9:00~17:00(16:30受付終了)
拝観料一般600円 高校500円 中小学生 400円
所在地〒606-8134 京都市左京区一乗寺竹ノ内町42
電話075-781-5010
3 曼殊院門跡のまとめ
『曼殊院門跡』は京都洛北、屈指の名刹で「小さな桂離宮」と呼ばれています。
宸殿は150年ぶりに再建され完成を迎えました。
曼殊院が「小さな桂離宮」と言われる理由を6つ上げてみました。
釘隠し、欄間など細かな意匠も美しく、茶室は京都三名席の一つです。
どれも創意工夫がされ、宮廷の美意識を取り入れられています。
又、三不動の一つ、国宝「黄不動明王像」が見られるチャンスです。
5月霧島つつじ、秋の紅葉の時期も美しいです。
京都で曼殊院門跡の雅な世界を見ていただけたら嬉しいです。
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